製造業で使われる売上計上基準のうち主要なものとしては、下記の3つがある。
それぞれ、下記の行為が終わった時点をもって、売上を計上する方法である。
(1) 出荷基準
(2) 引渡基準
(3) 検収基準
例えば、3/31に工場から出荷し、客先に4/1に納品、4/6検収完の場合、
(1)は3/31 売掛金 / 売上
(2)は4/ 1 売掛金 / 売上
(3)は4/ 6 売掛金 / 売上 となる。
3/31が決算の場合(1)は当期の売上に計上されるが、(2)及び(3)は翌期の売上となる。
またこの得意先が5日締切の場合、(1)及び(2)は4/5締切の請求書に反映されるが、(3)は5/5の請求書に反映される。
このように売上計上日をいつにするかは売上の帰属時期を確定させるのに重要である。
この売上計上基準は得意先毎に設定するのでなく、会社で統一しなければいけない。
販売管理上、問題になるのが(2)と(3)の場合である。
すなわち在庫引落しと売上計上の時期がずれるのが(2)と(3)で、3/31に在庫減から(2)は1日、(3)は6日のタイムラグが生じる。
(1)の場合は売上入力で売上計上と在庫引落しを同時に処理できるが、(2)及び(3)では出荷入力で在庫引落し、売上入力で売上計上という2度の処理をしなければいけない。
出荷入力で送り状発行し、売上入力で納品書を発行という処理になる。
受注→出荷→売上とリレーできるように受注noや出荷noで紐づけするのだが、必ずしもこの順で業務が流れるわけでなく、
受注→出荷同時売上、受注とばして出荷→売上や出荷同時売上も起こる。
中小企業の場合は、決まったルールどおりにいかない場合が多いので、理屈では考えられないが売上→出荷という場合も起こりうる。
販売管理ソフト「ふくろう販売」では、出荷入力と売上入力を別画面でなく、同一画面で処理できるように設計している。
売上日と出荷日を指定でき、売上計上チェックをON/OFFできるようになっている。
売上日を入力すると同日で出荷日が初期表示され、売上計上チェックは出荷基準の場合はON、それ以外はOFFが初期表示される。
出荷基準の場合は1回の売上入力で在庫引落し&売上計上される。
引渡し基準や検収基準の場合は、最初の売上入力で売上計上チェックOFFにして在庫引落しする。
後日売上計上する時に、未売上計上データを修正で呼び出し、売上日変更と売上計上チェックをONにする。
すなわち、受注→出荷は受注noでリレーされるが、出荷→売上は出荷noリレーでなく売上入力の修正で処理するようになっている。
未計上の売上データは請求書にあがらないし、仕訳転記されない。
仕入も売上の逆で入荷と仕入/買掛金計上がずれる場合がある。
売上と同様の処理で仕入日と入荷日を入力、仕入計上チェックのON/OFFで対応できる。
中小企業にとっては、できるだけシンプルな方法で在庫と売上計上のタイミングずれが解消できるシステムが望ましい。