先月は東京の顧客からの新規引き合いで2社訪問し、今月上旬には九州の新規顧客を3社訪問した。
4社がレンタル業、1社が鋼材業であるが、ネットで検索して資料請求・デモ希望の顧客である。
オンライン・デモも可能であるが、やはり訪問してヒヤリングしながらのフェースtoフェースのデモの方が要望の精度・強弱や運用のアイデアがその場で湧いたりして確実である。
ヒヤリングでいつも思うのは、顧客の経営力の向上にどう繋がるか、顧客の視点で業務をシステム化するにはどのように問題解決したらよいかという観点で提案しなければいけない。
カスタマイズ可能な業務パッケージソフトをベースに、フィット&ギャップ分析しながら基本設計書を作成していくのだが、はじめにパッケージソフトありきでスタートしては、アイデアが膨らまない。
かといって要望全てお聞きし、パッケージソフトの選定からオーダシステムで新規開発という選択肢まで広げるのは、中小企業にとってコスト&時間にそんな余裕はない。
東京の顧客は貸衣装業と建機レンタル業の2社である。
今回は建機レンタル業の打合せについて記述する。
建機レンタル業の会社は、30年以上も前からシステム導入し、5拠点のネットワークで処理している。
4時間のデモ&ヒヤリングで多くの質疑応答があったが、殆ど現状の業務を頭に思い浮かべて、このシステムならどうなるだろうという質問であった。
例えば、8月1日~10月末日迄の20日締切得意先への機材レンタルで、8月20日に請求し、9月20日は請求しないで、10月20日に2ケ月分請求というケースはどうするかというのがあった。
「ふくろうレンタル」では、自動継続処理で前回請求締切日を超えて貸出中のものは、その締切日に当月締切迄分と返却日迄の少ない方のレンタル売上伝票を自動作成している。
上記例で9月10日に返却したら8/21~9/10分、未返却なら8/21~9/20分のレンタル売上伝票が9月10日又は9月20日付け(9月20日請求)で作成される。
この質問の場合、9月20日で売上計上するかどうかという逆質問で確認する必要がある。
単に請求書をあげないで9月分社内の売上実績表には上げるのか、社内の売上も翌月計上にするのか、それにより提案方法が異なる。
「ふくろう販売」では、前者は請求締切日を次月にセットしたらよいし、後者はさらに売上日を翌月日付にしたらよい。
前者:伝票日付=9月20日、請求締切日=10月20日 後者:伝票日付=10月20日、請求締切日=10月20日
いずれもカスタマイズ無し(操作簡単にするため軽微なカスタマイズはあるかも知れないが)でできる。
この時、9月末日が決算なら後者にしておかなくてはいけないかなと頭の中をよぎる。
こちらの不備等で請求できず、債権が確定していない以上、後者の方法で未実現売上を計上しない方が安全性の原則にかなっている。
しかし、レンタルしている事実はあり、支払時期を伸ばすための翌月回し請求なら前者の方法で売上計上しておかなくてはいけない。
カスタマイズでどちらかに仕様を固めなくてはいけない時には、9月20日の請求無しはどういう理由か質問しておかなくてはいけない。
幸い、どちらでもシステム的には運用可能なので質問は省略したが、受注決まって導入後のサポートでシステム設計からやり直しはできるだけ避けておかなくてはいけない。
会計システムとの連動も視野に入れているようだが、売掛金 / 売上 の自動仕訳データをいつの日付でどのタイミングで転記するのか、仕訳を想定すると見えてくる。
また、売掛残高一覧表は全得意先の月末時点(決算日=末日)の売掛金残高を出力したものだが、試算表の売掛金の内訳となる。
レンタルしている得意先が20日締切の場合は請求金額が売掛残高一覧表にそのまま出力されるが、この会社の決算月では21~末日迄の未請求期間も売上計上している。
これも「ふくろうレンタル」では設計済なので問題ないが、同じ得意先にレンタルだけでなく消耗品等の販売もしている場合の売上計上で説明に時間を要した。
現状は各担当者が請求締切前にレンタル売上金額や販売金額を確定して請求書発行している。
したがって21~末日に販売した商品も翌月20日の売上としている。
販売品は商品引渡日に売上伝票作成されて、その日の売上計上が望ましい。
そうすると毎月の売掛残高一覧表には、1日~末日迄の販売品売上と締切日単位のレンタル売上が計上されることになる。
決算月は多めに、決算翌月は少なめに売上計上される(決算月は20日締切分に21~末日分加算、決算翌月は1~20日で締切分のみ)が、
1会計期間でみると、期首~期末のレンタル発生期間の売上計上で税務会計上問題ない。
得意先から返却されたWレンタル商品を仕入先に返却せず、別の得意先に貸出す場合の問題点は何かという質問もあった。
予定在庫や買掛金管理には問題ないが、受注no別原価表では受注no別に売上と仕入対比で実際の個別原価管理をしている。
売上が終わっても仕入が引き続き発生しているように集計されて過大原価となり、受注no別原価管理が重要なら、仕入返却処理をして新受注noで引き当てるべきと回答した。
このようにパッケージソフトの機能説明からはじまり、それで終わるのではなく、いかに顧客の問題を解決できるか、業務知識と顧客視点で見えるようにしていく事が大切である。
経営・業務面からシステム検討し、要望をまとめ企画し、コストパフォーマンスを考えたカスタマイズで提案できる人が、パッケージソフトを強力な武器として変身できるだろう。