販売管理システムの新消費税対応

2014年4月1日から新消費税率が8%となり、2015年10月1日から10%が予定されている。
販売管理や会計業務システムの修正や、これを機に新システムへリプレースという動きも出ている。

今回は、カスタマイズ可能な販売管理シスシステム「ふくろう販売」の新消費税対応の例をあげて、どのようにシステム変更したらよいかの説明である。

ポイントは以下の4点である。
(1) 売上・仕入入力については施行日前後の日付で混在入力しても新旧税率を自動判定して計算される。
(2) 見積や受発注入力については伝票日付でなく、納期によって判定する。
(3) 旧税率の売上に対する新税率施行日後の返品等については旧税率で処理できる。
上記の(1)~(3)の「ふくろう販売」による具体例はこちら。
(4) 末日締切以外の請求(支払)時一括消費税計算の取引先については、施行日前の取引分は旧税率、施行日後の取引分は新税率で計算される。
上記の(4)の「ふくろう販売」による具体例はこちら。

上記以外にも平成25年9月30日迄に締結した請負契約が施行日以降に引き渡した場合の旧税率適用の経過措置があるが、
上記(3)と同様に売上も旧税率に変更できるようになっていればよい。

このように、新旧税率の切替わり時がややこしいだけで、2014年5月以降になると今迄の税率5%が8%になるだけである。
したがって、請求明細書に消費税率の項目列を追加したり、新旧税率の内訳出力するメリットはあまりない。
シンプルな修正をしておけばよい。
2015年10月1日から10%の税率も、商品により軽減税率等の対応等の大幅な修正が無ければ今回と同様の処理でよい。

消費税対応をはじめから考えてシステム設計していたら問題ないが、オーダシステムや古いシステム等の継ぎ接ぎで上記のポイントをクリアするのは並大抵ではない。
簡単な修正方法としては、
(1)については、伝票日付バラバラ入力にならないよう旧税率分処理後、新税率に修正して施行日以降の伝票を入力する。
(2)については、見積書は税抜とし、納品時の税率適用となる旨記載しておく。
(3)については、2014年4月分の返品は全て旧税率にして、5月分以降から新税率の返品とする処理。
(4)については、施行日前日迄でいったん請求締切処理をして旧税率で請求書発行し、施行日後から4月請求締切日までは新税率で請求書発行という運用にする。
等、運用でカバーしておけばよい。

システム修正も大変だが、それよりも資産の譲渡を行った日がいつかという事を認識して新旧税率の判断をする方が難解である。
商品販売の場合は引渡しの日、役務提供の場合は約した役務の完了した日、資産貸付の場合は契約又は慣習によりその支払を受けるべき日である。
それでは、次のようなケースはどうなるか考えてみよう。

1.売上側と仕入側で引渡しの日の認識が相違する場合
例えば、売上側では出荷基準で2014年3月31日、仕入側では検収基準で2014年4月1日というような場合、いずれも適正である。
売上側が作成した請求書に記載された税率を仕入側も適用するのが妥当だが(旧税率)、税率の記載がない場合には適正な仕入計上時期の税率(新税率)でよい。

2.施行日をまたぐ期間の貸付
消費税における資産の譲渡等の時期は、法人税又は所得税において適正と認められる収益の計上時期であるので、その日において施行されている税率を適用する。
レンタル品の返却した日を売上計上時期(これが原則)にしていたら返却日で判断し、継続貸出の場合に請求締切日を計上時期にしていたら締め日で判断する。
その会社が3月末日決算で一旦締め切って売上計上しているなら、施行日前日迄で一旦締め切り旧税率で計算し、施行日移行は新税率で計算する。

3.施行日以降に対価の額が確定する場合
すでに行った資産の譲渡等について、その対価の額が確定していないことを理由に、対価の額が確定するまで見合わせるということはできない。
したがって、同日の現況によりその金額を適正に見積もって売上計上することになる。

 

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