先月は2社のシステム概要設計をしていた。
不動産賃貸業を全国展開する東京の会社と、特殊な糸を生産輸出する京都の会社のシステム再構築である。
新規顧客の要望を訊き、最低の総コストで必要な機能を確実に達成するため、組織的に製品・サービスの機能研究をする、Value Engineeringの手法を採用している。
機能を低下させずにコストを低減できる手段を積極的に採用し、概算積算して見積書を提出するためには、不可欠のプロセスである。
アメリカで考案・実用化されている管理手法であり、工事費用の見積りでも採用されている。
工事費用はグランドデザインにより左右される。 グランドデザインが決まった後にコストダウンを図ろうとしてもなかなか効果が出ない。
システム概要設計も同様で、この段階でアイデア・知恵を駆使して基幹業務システム「ふくろう販売」をベースに最適なカスタマイズ方法を考え、顧客に提案する。
その過程では、分析的(帰納的)アプローチやデザイン(設計的)アプローチを必要に応じて使い分ける。
分析的アプローチは、事象観察・分析して部分から全体を推察するという往き方である。
デザインアプローチは、目的とする真の機能を達成するシステムを設計する方式である。
分析的アプローチが現状分析から出発するのに対し、デザインアプローチではシステムの機能・目的を明確にし、現状にとらわれず、最適のシステムを作り上げるもので、演繹的方法といえる。 米国のナドラ-教授が創始したワークデザインが後者にあたる。
いずれにしても、概要設計作成・見積り提示までは無料で、注文書を受領してから基本設計→詳細設計→開発→テスト→検収→保守というプロセスを経る。
概要設計の洗礼を受けた見積りはかなり精度も高く、開発進捗もスムーズで後戻りも少なくなる。 顧客にとってもシステムの見える化で見積りも納得しやすい。
顧客との信頼関係ですすめるわけだが、蓄積されたノウハウの上に1ケ月の時間をかけて失注となるとショック、しかし、後日の同様顧客に再提案たたき台になると思えば希望も沸く。
顧客の手応えはいいので、導入したらこのブログでカスタマイズ内容を公開したいと思っている。