某会社の社長から国税局から預金差押え徴収された件で相談を受けた。
滞納税の納付相談で当局に足を運び、要請どおり納付計画書を提出したが何の連絡もなくいきなり預金差押えされたと言う。
信義則に反するような扱いで国税不服審判所に審査請求したいとの主張である。
滞納税は納めなくてはいけないし、国税不服審判所も法律上問題ないかどうかの杓子定規な行政法規レベルで判断するし、殆どが当局の天下りだから無駄に終わるとアドバイスしたが、ダメ元でするということで支援した。
以下は状況を聞いた要点である。
毎月少しずつ返済していたが若い担当者に変わってすぐに呼び出され、今年3月27日に現在の状況を聞かれたので、「7年前に癌で入退院繰り返し、社員も退職しその後の採用社員・外注先のおかげで何とかここまで回生した」、今後の経営状況の説明と返済を約束し、『払う意思あるのは理解する、1年で無理なのもわかる。 納付計画書を提出しろ』と言われ、実行可能な返済計画書を即日提出したにも拘わらず、何の連絡も無くいきなり預金差押えで、4月6日社員の給料支払に経理担当が銀行に行った時に残高が0になっていた。
驚いて当局に詰めより、「返済計画書には予定どおり返済しない場合は差し押さえると明記しているが、これを提出しないとか返済しないなら納得するが、その前にいきなり差し押さえるのは納得いかない」と反論した。
『来た時最初に差し押さえると言っただけましである。』
「1年以内は無理だ、そしたら納付計画書提出という流れで提出した。問題なら連絡あってしかるべきでは」
『そちらから電話してどうですかというのが筋や』「それは上から目線のお上ではないか」
『担保提供して1年以内納付が我々のフローで決まっている。次は売掛金を押さえる』 (「 」内社長、『 』内当局)
と言われ、数日すると当局から売掛金残高照会がきていると複数の得意先から連絡してくれた。
この状況ではバブル崩壊後の「一方的で強圧的な権力行使」と同じ事になると思われるので何とか防止したいと言うのが要望であった。
その時の状況とは、
売上の半月分相当の消費税滞納で税務署員と巡回監査役の国税局員が督促に訪問、長期請負の入金が近く入るので完済すると約束し売掛金一覧を提出した。
『わかりました、翌日経理部長から納付相談の連絡ください』と引き下がってもらったが、当時経理部長も現場に出て机上のメモ(当時はメール等なかった)もみることなく、翌々日7~80%の売上がある得意先の経理部長から売掛金差押えに税務署が来たとの連絡を出張先で受けた。
翌日経理部長から電話がなかったので、当局の担当課長が怒ってその翌日に実力行使を指示したのだろう。
あわてて税務署に駆け込んだが、当の国税局員はやりすぎかなという感じで差押え解除、滞納税も1年以内に完済した。
巡回監査の国税局員の手前、スタントブレーかと思われるような、預金差押えを飛び越えていきなり主要得意先の売掛金を差押えるのは不当行為である。(時効で異議申し立てできないが)
そのため、その主要得意先との基本契約どおり取引停止になり、以後20人の社員はリストラせず一部は他の得意先に転職や、新規顧客開拓に、新製品の開発と血のにじみ出るような経営努力を重ねたが結果、先の額以上の社長未払給与の源泉税・消費税が滞納になった。
さらに前述の大病で苦境に立たされても、顧客・社会のためにと新製品の開発に歯をくいしばって頑張っている真摯な社長の姿に一肌脱ごうと、審査請求の支援をすることになったのである。
10月19日に国税不服審判所から届いた回答は予想どうり、当局職員のした行為は法律違反ではなく審査請求は却下するというものである。
これが不服なら6ケ月以内に裁判ということだが、ハートがあり法律の行間読める官僚役人が少なからずいることを信じ、新製品・新規顧客開発に集中して、時間を無駄にせず経営に邁進したいということである。
卑怯なラフプレーに構わずひたすらボールを追っかけタックルで返すラガーマンのようなすがすがしさをこの社長に感じた。