前回、前々回と受注別原価、受注行別原価管理について述べた。
今回は、アパレル企業に納品した、販売管理システム「ふくろう販売」の導入決め手のひとつとなった受注別原価管理の流れを説明する。
【直接引当(都度買い)】:
例えば①オーダスーツの受注があって②その生産のため生地とファスナーの部材を受注分に見合うだけ仕入したとしよう。
さらに③加工の一部を外注先に依頼する場合もある。
この場合は①の受注に対して②+③の直接原価が発生し、②と③に受注noを入力しておけば、①-(②+③)の受注別粗利が計算される。
また、部材の在庫管理をしている場合、②で在庫増になるから生産に使用する時、出庫入力で在庫減とする。
製品も在庫管理する場合、完成時に入庫入力でもよいが、自社仕入先で仕入入力することにより仕入単価が売上入力時の売上原価に反映される。
但し、その製品の売上原価計算法が「最終仕入」を設定しておかなくてはいけない。
自社仕入の仕入単価を(②+③)の金額÷受注数にしたら製品別や得意先別の売上分析表等で直接原価を控除した受注別粗利が管理できる。
製品の在庫管理不要で、売上原価に直接原価をセットするだけなら、受注伝票を修正で開いて受注原価を直接原価にして、リレー売上したら、自社仕入入力は不要になる。
または、移動平均原価再計算のように受注別原価再計算で売上明細の受注行noで仕入・出庫データ集計値を売上原価に一括セットするPGを作成したら同様に自社仕入入力は不要になる。
【在庫引当(まとめ買い)】:
先例で④オーダスーツの受注があって⑤生地とファースナーの部材を自社在庫から引き当てたとしよう。
この場合は、部材を生産に使用する時に出庫入力で受注noを入力しておけば、④-⑤の受注別粗利が計算される。
部材を自社在庫として仕入れる時は、どの受注分に使用するか不明なので受注noの入力はしない。
直接引当は部材の出庫入力で受注no入力しないが、在庫引当は部材の出庫入力で受注no入力必須という点が、大きく異なる。
【開始在庫引当(導入時)】:
システム導入時に、導入日現在の在庫数を登録する。 さらに仕掛中の受注伝票も登録しておく。
この在庫数が自社在庫分の場合は、「在庫引当の流れ」と同様で生産使用時に出庫入力で受注no入力したら、受注別原価管理と同時に在庫引き落としできる。
この在庫数が直接引当分の場合は、上記②の直接原価となる仕入分であるから、暫定的に在庫引当と同じ出庫入力で受注no入力したら、受注別原価管理と同時に在庫引き落としできる。
「ふくろう販売」の実際の画面サンプルを下記に記載する。 但し、上記の例との違いは、完成品は在庫管理=不要としている。